「時計を落としてして調子が悪くなった。」「長年オーバーホールをしていない。」等の様々な理由で修理、オーバーホールの依頼が来ます。
その中で我々時計師が特に気になるのが水が入ってしまった時計です。
機械式時計にとってサビは大敵で、そのまま何もせずに放っておくと内部のパーツにサビがまわり修理代が高くなってしまいます。
最悪の場合、修理不可の場合もありえます。
今回の記事では、ロレックスを例に解説しますが基本的な部分は他メーカーでも同じですので参考にしてください。
時計に水が入る原因は?
リューズの閉め忘れによる水分の侵入
リューズ(時刻合わせネジ)をしっかりと閉めた状態で初めて防水機能が働きます。時計合わせ等で誤ってリューズを閉め忘れることがあるようです。この状態で手を洗ったりするとチューブとリューズの隙間から水が浸入しサビの原因になります。
パッキン(裏蓋パッキン、チューブパッキン、リューズパッキン)劣化による水分の侵入
裏蓋パッキンは裏蓋とケース本体の間にあるゴム製のパッキン、チューブパッキンはチューブ内部にあるパッキン、
リューズパッキンはリューズ内部にあるパッキンで、何年もオーバーホールせずに交換しないでいると劣化し防水機能が損なわれます。
リューズ、チューブのネジ部の劣化による水分の侵入
長年の使用によりリューズ側のネジ山とチューブ側のネジ山が劣化し噛み合いが悪くなっていきます。
しっかりとリューズを閉めたと思っていても防水効果が働いていない場合があり注意が必要です。
ガラスワッシャー(ガラスパッキン)の劣化による水分の侵入
ガラスとケースの間にある樹脂製のガラスパッキンの割れやヒビによる水の侵入があります。
この場合、雨に時計が濡れただけでも水が浸入することがあります。
時計に水が入ったらどうしたらいい?
STEP1: リューズを閉める
水が入ったと思ったらまず、使用を停止しリューズを閉めた状態にします。
空気が入る状態だとその分酸化しやすくなりサビがまわりやすくなります。
これは少しでもサビのまわりを遅くする処置です。
STEP2: なるべく早く時計店で水抜きする
次になるべく早く時計店に持っていき水抜きを行ってください。なお、全ての時計店ですぐに水抜き作業をしてもらえるとは限らない為、事前に電話等で確認した方が良いかと思われます。