内部構造が精密に作られている時計の修理、オーバーホールを行うためには高い技術力が必要になってきます。
時計修理技能士は、その技術力を評価する日本で唯一の国家資格になります。
この記事では、時計修理技能士がどのような資格で、オーバーホールを依頼する際に資格を持っている技術者が在籍していることのメリットを説明していきます。
大切な時計を長く愛用するために依頼するオーバーホール。
信頼のおける技術者に依頼するために、時計修理技能士がどんな人なのかチェックしておきましょう。
ここでは時計修理技能士について紹介していきたいと思います。
時計修理技能士とは
時計修理技能士は精密な技術力が要求されるアナログ時計修理に関する知識・技術を認定する国家資格の1つです。
試験の問題作成を中央職業能力開発協会が行っており、都道府県職業能力開発協会が試験を実施しております。
時計修理技能士の試験内容とは
時計修理技能士の資格は1級~3級まであり、学科試験と実施試験に合格することで取得することができます。
学科試験科目
学科の試験科目は1級~3級を問わず、下記の内容についての知識が問われております。
- 時計
- 時計修理法
- 機械要素
- 材料
- 電子および電気
- 安全衛生
実技試験内容
実技試験では1級~3級の試験内容はそれぞれ異なります。
1級
- アナログ水晶腕時計(3針、日・曜カレンダー付き)の分解や部品交換、洗浄、組み立て、注油などを行い、指定された要求事項・要求精度が試されます。
- 機械式腕時計(3針、日・曜カレンダー付き(自動巻式(手巻きなし)))の分解や部品交換、洗浄、組み立て、調整、リューズ操作などを行い、指定された要求事項・要求精度が試されます。
2級
アナログ水晶腕時計(3針、日・曜カレンダー付き)の分解や部品交換、洗浄、組み立て、注油などを行い、指定された要求事項・要求精度が試されます。
3級
アナログ水晶腕時計のバンド取り外し・取り付けやコマ詰め、中留長さ調整。
電池および裏蓋パッキンの取り外し・取り付け、化粧箱への包装などが試されます。
時計修理技能士の受験資格
時計修理技能士を受験するには、一定の条件を満たすこと必要です。
1級~3級、それぞれで受験資格が異なり、級が上がるごとに受験資格は厳しくなります。
1級
実務経験が7年以上、または2級取得後2年以上の実務経験、あるいは3級取得後4年以上の実務経験を持っていること。
2級
3級取得者、あるいは2年以上の実務経験を持っていること。
3級
半年以上の実務経験を持っていること。
修理、オーバーホールを行う上で最も大切なものが技術力だと思います。
時計修理を依頼する場合は時計修理技能士1級保持者が修理店に在籍しているかどうか確認しましょう。
スキルのない技術者がオーバーホールを行うと、分解後の洗浄が不完全になりやすく、組み立て時にパーツが傷つけられることもあります。
こういったトラブルを避けるためにも、時計修理技能士1級保持者のいる修理店に依頼することをオススメします。
時計修理技能士2級もしくは3級取得者がいる修理店はダメ?
私は1級取得保持者がいる修理店をオススメいたします。
時計修理技能士は1級~3級まであるのですが、級が上がる毎に試験を受けるための厳しい条件が付いてきます。
3級は実務経験が6ヶ月以上必要になり、2級は実務経験が2年以上あるいは3級を取得していることが必要です。
1級では実務経験が7年以上、あるいは2級合格後2年以上の実務経験、または3級合格後4年の実務経験を積むという条件があります。
そのため2級や3級を取得していても、知識を形にするだけの技術力がないこともあり得ます。
1級であれば最低でも2年半以上の実務経験があるため、豊富な知識を体現できる技術力を持っていると思います。
中には2級や3級で技術力を持っている方もいらっしゃいますが、時計を長く愛用するために高い技術力を持つ時計修理技能士1級取得者が在籍かつ、正しい判断のできる修理店に依頼をすることが大切です。
時計を長く使いたい
時計を長く使うためには確かな技術力を持った技術者が修理、オーバーホールをする必要があります。
未熟な技術者の場合、見た目はキレイでも時計内部の洗浄や注油が不完全な状態で、かえって寿命を短くしてしまうというケースもあります。
時計修理技能士という資格は広く知られておらず、見かけたとしも資格の有無ぐらいとスルーしがちです。
今使っている時計を長く愛用し続けるために、資格取得者が修理店に在籍しているか否かを事前に知っておきましょう。
依頼する修理店を探す際には、必ず時計修理技能士1級取得者がいるかをチェックしてから、修理、オーバーホールを依頼することがオススメです。