高級腕時計の保証期間

高級腕時計はブランドにより、保証期間が異なっております。
同じ価格帯のブランドでも保証期間が2年のブランド、5年という長期保証のブランドもあります。
ブランド内でもムーブメントの種類によって保証期間が異なることもあるので、調べれば調べるほど複雑になってきます。
さらに昨今では、ブランド戦略の一環として保証を長期期間にして他社と差別化を図るブランドもあります。

そこで今回は主要な高級腕時計のブランドの保証期間をまとめてみることにしました。
保証期間は腕時計を購入する上で非常に重要なところだと思います。
時計愛好家の方はもちろん、これから時計を趣味にしようとしている方はぜひ、最後までご覧ください。

保証期間とは

保証期間とは正常なご使用方法で内部機械が故障した場合に無料で調整や修理を受けることができる期間のことです。
保証期間はブランドやモデルによって異なります。

通常保証期間は販売店で記入された購入日から起算されます。
国内正規店で時計を購入した場合はその購入日から起算されます。
並行店にて並行輸入新品を購入した場合は、販売店が海外業者から買い付けをした日付けから保証期間が起算されます。
また、保証書は再発行されませんので大切に保管しておいてください。

保証を受けるための条件

保証期間や保証対象などが明記されたものが保証書ですが、実際にメーカーにて保証を受けるためには条件があります。
主な条件は、型番・シリアル・販売日付・代理店スタンプが記載されていること。

たとえ保証書そのものを持っていても、販売日付や代理店スタンプが記載されていなければ単なるカッコイイカードでしかありません。
正規店で購入する場合は日付や代理店スタンプが押されていないということはありえませんが、並行店には一部無記載の時計も存在します。
仮に無記載の時計を買った場合は正規保証を受けることができません。
多くの時計店は店舗独自の保証期間を設けておりますので、万が一不具合が起きても店舗の保証が適用されます。
保証期間は店舗によって様々ですが、新品であればメーカー正規保証と同様の2年保証を付けているお店が多くあります。
ただ、最初にも記載した通り、近年ではブランド戦略の一環としてその期間が延長されつつあります。

各ブランドの保証期間一覧

機械式腕時計は歯車が精密に組み上げられることによって動く精密機器になります。
ブランドによって搭載する機械に違いがあったり、装飾や素材によっても価格が大きく異なってきます。
保証期間についてはさほどどのブランドも2年間でしたが、近年では条件付きでさらなる延長が可能となっております。

詳細は以下の表をご覧ください。

ブランド名 国際保証期間 備考
ロレックス 5年 購入者名が消されていても有効
オメガ 5年 ※2018/7/1以降のモデルは5年。それ以前はモデルによって異なる。並行店のスタンプでも保証を受けられる。
ブライトリング 5年(01ムーブ搭載モデル 2012年1月1日以降) 正規品のみ半額でメンテナンスが可能
※ただしファーストオーナー限定
リシャールミル 5年
オーデマピゲ 2年 (登録後3年延長制度有)
グランドセイコー 3年 購入者名が消されていても有効
パテックフィリップ 2年 購入者名が消されている場合無効
ヴァシュロンコンスタンタン 2年 購入者名が消されていても有効
ランゲ&ゾーネ 2年 (国内代理店購入の場合は3年保証)
ブレゲ 2年
ロジェデュブイ 2年 (国内代理店購入の場合、1年延長制度有) 購入者名が消されている場合無効
ウブロ 2年 アクティベートされていれば有効
カルティエ 8年(Cartier Careへの登録必須)
パネライ 8年(Pam.Guardへの登録必須)
IWC 8年(MY IWCへの登録必須) 正規代理店スタンプが必須
タグホイヤー 2年 (国内代理店購入の場合2年延長制度有) 購入者名が消されていても有効
ジャガールクルト 8年(ジャガー・ルクルト ケア プログラムへの登録必須)
フランクミュラー 2年 国内正規代理店スタンプが必須
ゼニス 2年(WEB登録後1年延長制度有)
ヴァンクリーフ&アーペル 2年 購入者名が消されていても有効
エルメス 2年 購入者名が消されていても有効
シャネル 2年 海外保証書の場合は、自身で購入した場合のみ有効
ハリーウィンストン 2年 正規代理店スタンプが必須
ピアジェ 2年
ブランパン 2年
チューダー 2年 購入者名が消されていても有効
ブルガリ 2年 アクティベートされていれば有効
モンブラン 2年 並行店のスタンプでも保証を受けられる
ロンジン 2年 並行店のスタンプでも保証を受けられる
ノモス 2年
ユンハンス 2年
ハミルトン 2年

※2019年11月現在の保証期間になります。
特に備考がないブランドは、
型番・シリアル・販売日付・代理店スタンプが記載されていることが必須条件になります。

ちなみに2年という保証期間が多い理由は、一般的な時計のオーバーホール周期の3年~5年よりも保証期間を短くするために、2年という期間で各ブランドが足並みを揃えています。

カルティエやIWCなど、リシュモン系列が最大8年保証を発表

2019年11月から、カルティエを始めIWC、パネライ、ジャガールクルトなどといったリシュモングループの一部のブランドが、国際保証期間を従来の2年から8年保証へ延長することを発表しました。
今まで2年保証が基本であった時計業界。
近年延長されてるとは言え、長くて5年がほとんどでした。
そんな中で8年保証は非常に思い切った施策であることがおわかりいただけると思います。

ただし、8年保証とするには各ブランドの指定プログラムへの登録が必要になります。
指定プログラムとは、カルティエであればCartier Care、IWCであればMY IWCなど、8年への延長保証とともに新たにローンチされた独自の新プログラムです。
製品を新しく購入されたお客様に対するサービスで、各ブランドのホームページから製品登録することによって参加できます。
また、過去2年間に製品を購入し、最初の保証期間を過ぎていない方も、遡及的にプログラムに登録することができます。

このプログラムは、カルティエやIWCなどリシュモングループが「長年にわたる製造技術への投資」が実を結んだ形と言っています。
優れた生産ラインのもと、高度なマニュファクチュールを確立することで高い品質の製品をお届けできます。
高品質が故に、お客様に対して十分なアフターサービスを提供できるということになります。
実際のところ、自社製品に自信がなければ保証期間の延長には踏み切ることはできません。

最大5年保証の時計ブランド

カルティエなどリシュモン系列が8年保証を発表したとは言え、5年保証もまたかなり充実したアフターサービスだと思います。
5年保証を実現している主なブランドはロレックス、オメガ、ブライトリング、オーデマピゲ、リシャールミルです。
これらのブランドの時計を購入した場合、長期に渡って安心して時計を使い続けることができます。

ロレックス

時計界の王者と称されるロレックス。
長きに渡り、他のブランドと同じ2年保証を貫いてきましたが、2015年7月1日より保証期間が5年に延長されました。
ブライトリングの自社製ムーブメント5年保証を上回る保証サービスを実現するために、特定のモデルだけではなく全てのモデルが5年保証になっていることが大きな特徴です。
また、保証を受けるために型番・シリアル・販売日付・代理店スタンプが必須であることは他のブランドと同じですが、ロレックスにおいては購入者名が消されていても保証が有効になります。

オメガ

スピードマスター・シーマスターといった大人気モデルを擁するオメガ。
つい先日までクォーツ・通常ムーブメントが2年、コーアクシャル脱進機搭載モデルが3年、マスターコーアクシャル・マスタークロノメーター搭載モデルが4年という保証期間でしたが、2018年7月1日以降に購入されたすべてのオメガウ⁠ォ⁠ッチに対し⁠、国際保証を5年に延長する運びとなりました⁠。
ロレックスがブライトリングに対抗したように、オメガもまたロレックスを意識しております。

ブライトリング

スイス時計業界における2年保証という常識を最初に打ち破ったのがブライトリングです。
ブライトリングは2012年1月1日以降に購入した自社製01ムーブメント搭載モデルの保証期間を2年から5年へ延長し、高級時計におけるアフターサービスの火付け役となりました。
また現在では、01ムーブ以外でも自社製ムーブメント搭載モデルは全て5年保証となっております。
ただし、ブライトリングは全てのモデルが5年保証になっているわけではなく、自社ムーブメント以外のモデル、2012年1月1日以前に購入された自社製ムーブ搭載モデルに関しては2年保証となっているので要注意です。

オーデマピゲ

世界三大時計ブランドの一社として君臨するオーデマピゲ。
購入から2年以内に公式WEBサイトから延長保証を申し込むことで保証期間を3年間延長することが可能です。
つまり合計5年間の国際保証を受けることが可能になります。
仮に保証書を紛失してしまった場合でも、時計をオーデマピゲ本社に送り真性証明をすることができれば、真性証明書を発行することができます。

リシャールミル

今までの概念を覆すような独創的な時計を展開するリシャールミル。
1000万円を超える高額モデルが当たり前の様にラインナップされている超高級ブランドです。

余りにも価格が高価なこともあってか保証期間は5年間という長期保証。
これは他のブランドを意識したというより、このくらい長い保証を付けなければユーザーが納得しないものだと思われます。

最大4年保証の時計ブランド

4年保証の主な高級時計ブランドはタグホイヤーです。
以前はオメガの「マスターコーアクシャル」「マスタークロノメーター」搭載の時計も4年保証でしたが、現在は主要ブランドの中ではタグホイヤーのみが4年保証となっております。

タグホイヤー

タグホイヤーの保証期間は4年間ですが、これは国内代理店で購入し、Edouard Clubへの入会した方のみの延長保証制度になります。
つまり、並行店でタグホイヤーを購入した方は大半のブランドと同じく2年保証になります。
価格よりも保証を重要視する方は注意しなければなりません。
ちなみにタグホイヤーの保証書はアクティベートされていれば、どなたでも保証を受けることが可能です。
例え購入者名が消されていても有効になります。

最大3年保証の時計ブランド

最大3年保証を掲げている主なブランドはグランドセイコー、ランゲ&ゾーネ、ロジェデュブイ、ゼニス。
概ね最初のオーバーホールを受けるまでは安心して時計を使用することができます。

グランドセイコー

日本が世界に誇る時計ブランドであるセイコー。
多くのスイスブランドとは異なり、3年保証という手厚い保証を設けております。
ただ注意したいのは3年保証が適応されるのはグランドセイコーのみという点です。
通常のセイコーウォッチの保証は1年。
クレドールに関しては2年の保証期間となっておりますので要注意です。

ランゲ&ゾーネ

世界一のムーブメント製造技術を誇るランゲ&ゾーネ。
まさにドイツブランドの至高であります。
保証期間は3年保証となっていますが、国内代理店購入の場合のみ3年保証が適応されるので要注意です。
並行店で購入した場合は通常の2年保証となります。

ロジェデュブイ

芸能人やプロスポーツ選手に愛用者が多い、今話題のロジェデュブイ。
国内代理店購入の場合、WEB登録後に1年間の保証延長を申請することができます。
こちらもランゲ&ゾーネと同じく、並行店で購入した場合は2年保証になります。
ちなみにロジェデュブイの保証書はフルオープンの場合でも、代理店での販売履歴から販売日の確認ができれば有効になる可能性が高いです。

ゼニス

老舗時計ブランドのゼニスは高いムーブメント製造技術を持ち、エルプリメロ・エリートといったハイスペックムーブメントを多くのモデルに採用しております。
ムーブメントに拘りを持つ時計ブランドだからこそ保証も手厚く、WEB登録後に1年間の保証延長を申請することができます。
正規・並行による保証期間の差はなく、いずれも計3年保証を受けることができます。

まとめ

高級時計の保証は2年保証が基本です。

ロレックス、オメガ、ブライトリングといった一部のブランドでは5年にも及ぶ長期保証が用意されていて、安心して時計を使用することが出来ます。
人と被らないようにマイナーブランドの時計を選ぶのも1つですが、やはり定番人気ブランドはリセールバリュー良し・品質良し・保証良しと満足感が抜群に高いです。

誰もが知る有名ブランドになるには、それだけのメリットがありますね。